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《ちっ……まだ使える都市伝説があったのか》 「その“使える”って意味によるけどな 使用できる都市伝説ならこの通り、今の時点では俺の切り札だ 便利な都市伝説は残念ながら手元に無い」 『そんな言い草は無いだろう? まぁ、君のような単細胞契約者は一生かかっても僕を使いこなせないだろうがね』 「何だとぉ!? 人殺ししか脳に無いお前よりは遥かにマシだろうが!!」 「け、喧嘩は止めなよ!」 喧嘩とは言え、傍から見れば剣に向かって裂邪が一方的に八つ当たりしているようにしか見えない それに、一見すると黄金の柄の剣が口を聞いているように思えるが、実際は剣にとり憑いている紫の霊魂だ 「ティルヴィング」、「憑依霊」、「エルクレスの塔」、「ヴァルプルギスの夜」、そして「神出鬼没」 5つの都市伝説に飲まれた元人間である、裂邪の6つ目の都市伝説―――ナユタ 元々は人から人へ憑依して回り、他人の命を奪って愉しんでいた姿無き快楽殺人鬼だったが、 それを止める為に裂邪が強制的に仮契約を行った為、このような現状になっているのだ 《だが何を使えようが関係ない、俺は並行世界をも支配する男だ! 例え別世界の俺だろうと、たった1人の契約者が止められる訳がない!!》 周囲の小型UFOが砲撃の準備を開始する その数、凡そ20機ほど 「……おい殺人鬼、ここは一時休戦と行こうぜ」 『本当は即刻取り下げたいところだが…仮契約だか何だが知らないが、それでも君との繋がりは深いらしい 君に死なれると僕が消える……それだけは避けたいからね』 裂邪が「ティルヴィング」を前方に構える きらり、と切っ先が光を反射して輝いた 『言っておくが、足手纏いにはならないでくれたまえ』 「お互い様だろ馬鹿野郎……行くぞ、ナユタ!」 『…仰せのままに』 《撃てぇ!!》 UFOから、裂邪に向けてレーザーが一斉に発射される それらは全て彼に被弾した――――と思いきや、逆に放射状にレーザーが放たれ、20機のUFOが撃墜された 《何っ!? どういう事だ!?》 「ヒハハハハハハ! 「エルクレスの塔」は光を反射して敵軍を焼き払った「アレクサンドリアの大灯台」の縮小型だ! だったらもう分かるよな? レーザーも光だろ!?」 《こ、小癪な……余り目立つ事はしたくなかったが、構わん! 全軍、黄昏裂邪を撃ち殺せ―――――》 命令されたと同時に、傍のUFOが両断され、爆音と共に木っ端微塵になった 何事か、と軍服裂邪が確認しようとした次の瞬間に1機、また1機と墜ちてゆく 《ええい、今度は何が――――――ッ!?》 彼はそこでようやく気付いた 先程まで地上にいた筈だった裂邪が、そこにいなかったのだ では、何処に行ったのか? 何気なく視線をやった先に、彼はいた 今まさに、小型UFOを真っ二つにせんとしている あ、と言う間もなく断ち斬ると、その瞬間に彼の姿が消える 「神出鬼没」による、擬似的なテレポーテーションだ 《消えた……!? 違う能力か!?》 《レーダーニ反応アリ。敵ハ303号機ニ乗ッテイマス》 《ちっ、550号機、753号機! 奴を303号機ごと撃て!!》 《《了解》》 指示通り、2機のUFOから再びレーザーが放たれる しかしその真っ直ぐ伸びる光条は、紫色に怪しく燃え上がる炎によって掻き消された 邪念の篭った攻撃を容赦なく祓う「ヴァルプルギスの夜」である 「あーぁ…良い具合にチートだよな、お前」 『素直に喜びたまえよ、今は君の力なのだから』 「ティルヴィング」を振り下ろし、UFOを撃墜すると、瞬間移動して先の2機も分断し、 飛んできたレーザーを全て跳ね返して確実に撃ち落とす 気がつけば、飛んでいるUFOは母艦だけだった 「ウヒヒヒヒ…おーい、世界の支配者さんよーぃ まさかこれで終わりとは言わねぇよなぁ?」 《……成程、腕は確かなようだ。ならこれはどうだ?》 母艦から謎の光が伸び、不気味な影が降り立った 全身は緑、脚は2本だが、鋭い爪を持った腕が6本あり、先端が棍棒になっている尻尾も2本伸びている 珍しく翼は生えてなく、代わりに胸部には赤く輝く結晶体が埋め込まれていた 目は左右に4つずつ、口はX字に裂けており、滴る涎がアスファルトを溶かす 「ジ・ジ・ゼ・ジ・ゾ……」 《今度はその「ミュータント」が相手だ》 「わお、これどこの三流RPGよ、何故か血が騒ぐぜ」 『子供かね君は』 「男はずっと子供なんだよ、馬鹿みたいに大人びるからあんなことになるんだ」 呟きながらも「ミュータント」の地面を穿つ攻撃はしっかりと回避する と言うより、本人が意識せずに、勝手に身体が動き出していた 「……おい、契約者には憑依できないんじゃなかったのか?」 『さぁね、仮とはいえ、契約したお陰じゃないかな?』 ナユタの本体は「憑依霊」だ 過去には契約者や都市伝説には憑依できず、一般人に憑依して戦闘を行っていたが、 どうやら今は裂邪に憑依できるらしく、彼の身体能力を底上げしているようだ 『ま、憑依してはいるが、君の意識が残っているのはちょっとショックだよ』 「ざまぁみろ、好き勝手にゃさせねぇよ!」 尻尾の棍棒を「ティルヴィング」で弾き返し、爪による斬撃を「ヴァルプルギスの夜」で無力化する 「神出鬼没」で背後に周り、背中から襲いかかる すぐに気付いた「ミュータント」も尻尾で応戦し、何とか背中の一撃は免れたものの、 その代償として尻尾の先が、鮮血を散らして空に舞う 小さくガッツポーズを決める裂邪だったが、体液を飛び散らせて再生した尻尾を見て萎える 「やっぱ再生すんのか…厄介な」 『再生しないように細かく斬り刻むか、焼くしかないようだ』 「殺しに関しては天才だな、お前」 次の瞬間、「ミュータント」の胸部の水晶体から、赤い光線が放たれる またレーザーかよ、と文句を垂れて「ティルヴィング」の切っ先を向け、「エルクレスの塔」の能力で光線を跳ね返す 光は水晶体もろとも焼き焦がし、「ミュータント」の身体に風穴が空く 咆哮を上げ、「ミュータント」は一瞬怯んだ 「っし、ナユタ、数撃手伝え!」 『言われなくともそのつもりだ』 裂邪は居合の構えで「ミュータント」に飛びかかる すれ違いざまに目にも止まらぬスピードで剣を振り、軽やかに地に足を付けた ぼと、ぼとぼと、と化け物は細切れになり、溶けて消えて無くなった 「………す、すごい……あんな化け物を、一瞬で……!」 路地裏から戦いを見ていた少女裂邪は、密かに感動を覚えていた 同時に、腹の底から湧き起こるようなとてつもない感情に、徐々に気付きつつあった 「ヒハハハハハハハ、そ~ら、もう終わりか? 何だったら遠慮なくその無駄にデカい船をぶっ壊させて貰うぞ!」 意気込む裂邪だったが、実は少しばかり体力の限界が近づいていた 殆どナユタの憑依による自動操縦状態だったが、裂邪は運動嫌いで且つ体力は同年齢の平均以下 UFOからUFOへと飛び回っていれば、その減り具合も納得である 《……ふん、安心しろ、まだ用意してある》 再び怪しげな光が出現し、先程の「ミュータント」が現れた ここまでは同じだが、問題はその数である 全部で、5体……流石の裂邪も、顔に出してしまう程の多さである 『もう体力切れか? 全く、よく多重契約なんて出来たものだ、呆れを通り越して…やはり呆れるね』 「どうも有難う、それよりまずいぞ、何とかしたいが……ん?」 目の前には、水晶体にエネルギーを溜める6体の「ミュータント」 恐らくこの後、先程のように胸から光線を出すのだろう 裂邪はポケットからスマホを取り出し時間を確認した後、空を見上げ、にやりと笑った 「問題です、雲の上には何がある?」 『は?』 「あぁ全く常識問題だ、答えは太陽 あの雲さえ退ければ、太陽が見られる訳だ」 『それがどうした――――――――あぁ、そういう事か』 5体の「ミュータント」が同時に光線を発射する 一つになって巨大化した光線を、裂邪は「ティルヴィング」の切っ先で天に向けて反射させた 《血迷ったか、何処を狙っている?》 「見りゃわかるだろ、雲だよ! そして、俺が狙ってるのは、その先に在る希望だ!」 反射した光線は雲を貫き、空に巨大な穴を開ける その穴から、眩い光を放つ神の目玉が、ぎょろりと覗いた 町中が、光に包まれる 町に、そして裂邪の背に、“影”が生まれる 「…ッヒヒ、やっぱ用意が良いな……来い!シェイド!ミナワ!理夢!ウィル!」 「了解シタ」 「はい、ご主人様!」 「OKィ!」 「がってんでい!」 裂邪の影から、黒いローブを纏った人影、青い髪の少女、白い毛並みの獣、赤い人魂が次々と飛び出した 「シャドーマン」のシェイド 「シャボン玉」のミナワ 「獏」の理夢 「鬼火」のウィル 全て、裂邪の契約都市伝説 これまで彼を支えてきた、仲間であり―――家族 《ッバカな!? 一体幾つと契約しているんだ!?》 「都市伝説が……4つも増えた!?」 驚愕する2人の裂邪だったが、この光景はもはやお馴染みなので当の裂邪も半笑いである 「お前ら、状況は分かってるな?」 「全テ影ノ中デ見テイタ……ソコノ少女ノ事モナ」 「もぉ、厄介事に巻き込まれすぎですよ、ご主人様は」 「ついこの間まで誰かと入れ替わってたテメェが言う事かよ?」 「違ぇねぇ、結局は『都市伝説は引かれ合う』って奴でい!」 『のんびり話している暇があるなら前を見たまえ、来るぞ』 「ミュータント」が爪を立て涎を垂らし、ゆっくりと前進してくる ふん、と裂邪は鼻で笑うと、右手を前に差し出した 「まずは奴らの撃破……戦闘開始だ!」 ぱちんっ、という指の音と共に、彼等は一斉に行動を開始した ...To be Continued 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
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以前、日焼けマシンの契約者が退治した、マッドガッサー しかし、それが新たに出現した、と言う情報が入った ここは、学校町 都市伝説が生まれやすい場所 新たな個体が生まれた、ということだろう マッドガッサーは、男性のいない、女子供だけの家を狙う …よって、はじめに心配になったのは、はないちもんめの契約者だった 「それで、忠告に?」 「はい」 幸い、と言うべきか否か 連絡に行こうとしていたところで、下校途中の彼女を見つける事ができた 並んで歩きながら、ざっとマッドガッサーについて説明する 「…とりあえず、無闇に玄関を開けなければいいのね?」 「はい。それと、遭遇したら出来る限り、逃げ出すように」 わかったわよ、と答えてくるはないちもんめの契約者 毒ガスの恐ろしさは、以前遭遇した事件で身にしみているのかもしれない …そうやって、話している、最中だった 「っ!あれ!」 「……!」 黒服と、はないちもんめの、前に ガスマスクを被った、不審者が姿を現した すちゃ!と マッドガッサーが、ガスの噴射口を「はないちもんめ」の少女に向けた ……不味い!? いきなり遭遇してしまったから、対処法は用意していない 相手の毒ガスがどれだけの殺傷力を持っているかはわからないが…少女がまともに毒を喰らっては、不味い 「っきゃ!?」 少女を、近くにあった電話ボックスに押し込む これだけでも、ガスの攻撃はある程度防げるはずだ 直後、マッドガッサーは、毒ガスを噴射してきて 黒服は、それをまともに吸い込んでしまった 「く……!?」 ぐらり、視界が暗くなり …黒服の意識は、そこで一度、途絶えた 「…ねぇ、ちょっと!」 「ん……」 揺さぶられて、意識が戻る マッドガッサーの毒ガスにやられて、気を失っていたようだ とりあえず、体は動くようだが… 「…すみません。ご無事ですか…」 そう、はないちもんめの契約者に声をかけながら、起き上がる ぷるんっ ……… ぷるん? 起き上がった自分の体に、若干の違和感を感じ 嫌な予感を感じながら…黒服は、自分の体を見下ろした …そこには 男である自分には存在しないはずの、豊満なバストが存在していた ……これは、どう言う事なのか 「…すみません。私が気絶している間に、一体何が?」 「……あなたが毒ガスを喰らって倒れたのを見て、マッドガッサーはどこかに逃げたわよ。その後、あなたの体に変化が起きて…」 …なるほど 毒ガスは毒ガスでも、性別転換と言うふざけた効果をもった毒ガスだった訳か 黒服は、小さくため息をついた 致死性の毒じゃなかったから、良かったものを… まったくもって、迷惑な存在である 後で組織に連絡して、早めに捕縛・もしくは退治するように伝えた方がいいかもしれない 「…いやに冷静ね」 「一応、対処法はわかっていますから」 毒を喰らってこうなったのならば、毒を浄化すればいい いつも持ち歩いている、ジェラルミン製の鞄を開ける 確か、中に「ユニコーンの角の粉末」が… ……… …………… おや? 「どうかしたの?」 「…困りましたね。ちょうど、ユニコーンの角の粉末だけ、ありません」 河童の妙薬は、どちらかと言うと病気の浄化だ、毒の解毒の効果はあまり見込めない よりによって、ユニコーンの角の粉末だけ、持ち合わせがないとは 後で、組織で在庫を確認しなければ ごそごそと、黒服はスーツのポケットを、いくつか探る 水晶でもトパーズでもヘマタイトでもいい 何か、毒の浄化に使えそうなパワーストーンは… ………… 「…もしかして。毒を浄化できそうな物が、偶然にも全部なかった、とか?」 「……どうやら、そのようです」 はないちもんめの契約者の言葉に、黒服は苦笑した なんと言う、不幸な偶然 これでは、元の姿に戻れない 「まぁ、幸い私は都市伝説から。万が一組織本部にユニコーンの角などの在庫がなくても、一週間もてば毒は排出されて、元に戻るでしょうが…」 「…つくづく便利ね、都市伝説って」 確かに、その通りなのだが …まいった 少し動かしてみるが、女性の体は酷く不便だ なぜか胸は必要以上に重たいし、元々、男性としても力強い方ではなかった自分の体は、ますますか弱くなってしまっているようだ これでは、都市伝説と遭遇したさい、足手まといになってしまう確立があがってしまう 担当している都市伝説の契約者に戦わせる以上、自分だけ戦わない、と言うのは問題だと思うのだが… 本当に、もし万が一本部にもユニコーンの角の在庫がなかったら、自分は今まで以上に後ろに下がらざるを得ない その状況に、黒服は憂鬱になる 「…とにかく、あなたが無事で、良かったです」 そっと、はないちもんめの契約者の頭を撫でる黒服 はないちもんめの契約者は、黒服の身に起こったこの現状に、どう反応したらいいのかわからないのだろう 酷く微妙な表情を向けてきているのだった 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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さぁ、復讐の刃を抜け あなたには復讐する権利があります あなたに、復讐のチャンスを与えましょう ???????? 空は、分厚い雲に覆われている 月も、星も、姿を隠している しとしと、しとしと 静かに、雨が降っていた しとしと、しとしと それは、まるで誰かの涙のように 静かに、静かに、振り続ける 「………」 その、雨の中 青年は、傘も差さずに歩いていた しとしと、しとしとと 静かに振り続ける雨を浴びながら、足音を忍ばせ、静かに歩く 「……鬱陶しいなぁ…」 ぐっしょりと濡れた髪をかきあげる しとしと、しとしとと 雨は、やむ事なく振り続ける --雨は、ね。お空が泣いている時に降って来るものなのよーー ふと、そんな母の言葉を思いだした …ズキリ、頭が痛む 余計な事まで思い出しそうになって 思い出すな、と思考にブレーキがかかった --見るな --思い出すんじゃない、思い出さなくていい そんな兄の言葉が、何度も響く 「…兄、さん」 ふらり 一瞬、体がよろけた 駄目だ、しっかりしろ 今は、昔の事なんて、思い出している場合ではない しとしと、しとしと、しとしと 雨の中、歩き続ける青年の携帯に…着信が 「……はい…………うん、わかった。すぐに行くね」 ぱたん、と携帯を閉じて 顔をあげた青年は、いつも通りの笑顔を浮かべていた いつも通り? 本当に、いつも通り? 「さて……手加減なしで行こうかな?」 くすり、青年は笑って 雨のふる夜道を、駆け出した ばしゃばしゃばしゃ 水溜りを踏み越える音が響く 夜道を、一人の逃亡者が走る、走る、走る、走る 「はぁ……っ、くそ……!」 何がいけなかったのか 何が、この不運の始まりだったのか それは、彼にはわからない いや 微かに、わかってはいる 理解しているはずなのだ しかし、わかろうとしない、理解しようとしない 眼を、耳を、心を塞ぎ 彼はその事実を受け入れない 「…畜生めが…!」 何がいけなかったのか? 自分は、正しい事をしてきたはずだろう? …都市伝説なんて、みんなみんな、悪党だろう? 「……どちらに行かれるおつもりで?」 「……!」 …ぱしゃり 道を塞ぐように現れたのは、黒服の男 雨の中、傘もささずにいたのだろう 全身ずぶ濡れで、いつもはオールバックにしている髪も濡れて、前髪が垂れている 「……組織か!」 「はい、ご察しの通り」 黒服は、感情の篭っていない声で銃を抜いた 静かに、男を真正面から見詰めてきている 「…あなたの信念は、変わりませんか?」 「………?」 「都市伝説は全て悪だと言う、あなたの考えは、変わらぬままですか?」 淡々と、黒服はそう、男に尋ねてきた 静かに、静かに まるで、教師が生徒に何か伝えようとしているような、そんな声で …ここで、ふと、男は気付く 自分は、何を怯えていたのだろうか? 相手は一人 しかも、戦闘力などないと言われる、黒服ではないか 相手は都市伝説だ、殺したって、何の問題もないだろう? そもそも、相手は銃を向けてきている 正当防衛が成立するはずだ (…正当、防衛?) 何故、そんな事を考えた? そんな事は関係ない 相手は都市伝説なのだ いつも通り、始末すればいいだけの事 …そう、相手は××××じゃないのだから 「-----っ」 やめろ 思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出させるな 考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えるな考えさせるな あれは、俺が悪いんじゃない! 俺のせいなんかじゃない!! あれは、事故だ! 自殺だ!! 俺が殺したんじゃない!! 「当たり前だ」 さぁ、この黒服も殺してやろう 黒服と言う都市伝説 悪の都市伝説のその一部 殺したって、なんら問題はないのだ 「……そう、ですか」 男の回答を聞いた、黒服の声は 落胆している訳でもなく 絶望した訳でもなく 軽蔑した訳でもなく むしろ、その声に含まれているのは 「……あなたは、わかっていないのですね」 …哀れみだった 「わかっていない、だと?」 「…そうです。あなたは、都市伝説は全て悪である、と断言します……知っているでしょう?都市伝説は、全てが意思持つ存在ではない。中には、意思を持たない都市伝説も存在します………あなたが契約している都市伝説のように」 …この黒服は、馬鹿にしているのか? そんな事、知っている わかりきっている 自分が契約している都市伝説の力もわからない、なんて事は… 「まだ、お気づきになりませんか?」 銃を向けられたまま しかし、同時に哀れみを向けられる 「あなたが契約している力も、都市伝説に変わりはないのですよ?」 …黒服の、その言葉に 男は、ようやく、黒服が言わんとしている事に、気付いた 「すなわち、あなたのその考えに基づくならば……あなたは、悪の力を持ってして、悪を倒している事になりますね」 「っそ、それがどうした!」 そうだ! それが、どうしたと言うのだ! 俺は、選ばれた存在なのだ! 許された存在なのだ!! だから、この力を使うことは、真っ当な、正しい事なのだ!!! 「……そして、あなたの考えが、もし、正しいのであれば」 銃は、向けられたまま そして、向けられる哀れみが強くなる やめろ やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ 俺を憐れむな!!! 「大気に宿る…猛き風の精霊よ…眼前の敵を切り裂け!」 黒服の言葉が終わるよりも先に、男は攻撃を繰り出した 話を聞く必要など、最初からなかった さっさと殺してしまうべきなのだ! 風の刃が、黒服に襲い掛かる 次の瞬間には、黒服はその刃によって、ズタズタに切り裂かれる …はず、だった ぱりんっ、と 何かが砕けた小さな音がした キラキラと、粉末のような物が宙を舞い…攻撃は、黒服に届かない 「な……!?」 「…ターコイズ一個で、何とか防げましたか」 ぼそり、黒服が呟く 何をしたのか、わからないが…こちらの攻撃を防いだだと!? 男は、焦りながらも次の攻撃に移る そう、何度も奇跡が続くものか 今度こそ……! だが、しかし 男が、次の攻撃の呪文を唱えるよりも、先に 「み~つけた」 聞こえてきたのは、この場にそぐわぬ。場違いな声 どこか無邪気な、しかし、同時に狂気を含んだ声 ぞくり 全身を、悪寒が走りぬけた それは、剥き出しの刃を首筋に当てられたような、殺意 男は、慌てて横に飛ぶ ばしゃり!! 直後、男がいた場所に、茶色い液体がぶちまけられて じゅうじゅうと音をたて、アスファルトの道路が溶けていく 「…もう少し、早く来ていただけるとありがたかったのですが」 「うん、御免ね?」 ニコニコと、黒服の言葉に答える…青年 コーラのペットボトルを手に、何か楽しいのか、微笑んでいる 何者だ? 「知識の泉…その英知を…我に分けたまえ」 ぼそり、呟き、青年を見る …人間だ しかし、都市伝説の契約者 契約しているのは… 「…骨を溶かすコーラか」 「あ、わかっちゃうんだ?」 くすくすくすくすくすくすくす 青年は、笑ってくる 「…あなたと同じ、意思を持たない都市伝説との契約者ですよ」 「え~、僕、こんなのと一緒にされたくないな」 歳相応、とは言えない、少々子供っぽい口調で、青年は不満そうな声をだした …しかし、すぐに笑顔を浮かべ、男を見つめてくる 笑顔 そう、笑顔なのだ しかし、その笑顔には、どこか狂気が混じって 向けられるのは、剥き出しの殺意 「あのね、そう言う事だから…君が、この『骨を溶かすコーラ』って都市伝説を倒したいんなら、僕を殺さなくちゃね?」 「……っ!?」 何を こいつは、何を言って… 「あ、そうそう。君は、人殺しを躊躇するかもしれないけど。僕、遠慮しないから」 にっこり、笑顔で言われた言葉は、死刑宣告に近かった ごぽりっ 青年が手に持つコーラのペットボトルから…コーラが溢れ出し、男に襲い掛かる! 「凍てつく風よ…北より来りて…束縛せよ!」 ぴしりっ 男の言葉が終わると同時に、コーラが凍り付いていく 「ふぅん?」 ぱきんっ、と 近づいてきていた氷の束縛を、青年はまだ凍っていない部位のコーラを操る事によって回避した じゅうじゅうと、凍ったコーラが溶けていく 「本当に、魔法使いなんだ」 にっこり、と どこか面白そうに、青年は笑う きゅう、と その口の端が、残酷に釣り上げれた 「それじゃあ、足や腕の一本くらい無くしても、平気だよねっ!?」 ごぽぽぽぽぽぽぽぽ コーラは、留まる事なく溢れ続ける そして、その全てが青年の意思に従うように、男に襲い掛かってくる! 「く…!」 じ、冗談じゃない! 相手は人間だ 『都市伝説と契約している人間』だ 都市伝説じゃない それを、殺してしまったら…自分は人殺しだ いや 自分はとっくに………人殺しだ 「………っ」 人殺し 人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し その単語が、何度も何度も脳内でリフレインする 煩い、煩い、煩い、煩い、煩いっ! あれは俺が悪いんじゃない! あれは事故で自殺なのだ!! 俺が悪いんじゃない 全て、都市伝説が悪いのだ! じろり 男は、黒服に視線を向けた 銃を向けたまま、黒服は撃ってはこずに、こちらの様子を窺っているようだ …そうだ、こいつは都市伝説だ こいつだけ、さっさと始末してしまえばいい…! 「凍てつく風よ……北より来りて……」 「!」 黒服が、スーツの内ポケットから何かを取り出す 先ほどの、こちらの攻撃を防いだ手段か? …そう、なんども防げるものか! 「眼前の敵の命を……うば………っ!?」 じゅう、と 何かが、焼ける匂いがした じゅうじゅう じゅうじゅうじゅう それは、肉が焼ける匂い 「-----ぎ」 それは 男の体が、焼ける匂い 「ぎゃあああああああああああああああああ!!??」 じゅううううううううううううう 体が、焼かれていっている それも、一気に焼かれていっているのではない じわじわ、じわじわと じょじょに、じょじょに、焼かれていっている いつから? いつから、この攻撃は始まっていた? 日焼けしたように、茶色くなっていた肌 それが、茶色を通り越して、黒くなっていっている…! 「煩いなぁ」 「ぎーーーーっ!?」 ばしゃりっ! 痛みに、足が鈍った男の腕に…コーラが、かかった じゅううううううううううう 腕が…溶けていく! 「ぐ……癒しの炎よ…我が傷に…命の火を灯したまえ!」 男の言葉が終わると同時に、溶かされた腕が 焼かれた体が再生していく 痛みが、じょじょに消えていく 「っち、うぜぇな……魔法使い様はばんのー、ってかぁ?」 じゃらり 金属がじゃらじゃらと鳴っている音がする 黒服の、その背後から 金髪に、チャラチャラとした服装をした青年が、姿を現した …何だ!? 今夜は、一体何だと言うのだ!? 何故、自分はこんなにも敵に囲まれている!? 「…あなたも、来ましたか」 「あぁ、あんたが呼んでくれたからなぁ」 すたすたと チャラけた格好の青年は、黒服を庇うように、彼の前に立つ そして、じろりと男を睨みつけてきた 「…俺の大事なもんに、何しようとしがってんだ、おっさん」 …この状況を、一言で言い表すならば…私刑会場、とでも言うべきか 一本道で、挟み撃ちにした体勢 そう簡単には、逃げられまい 「あれ~?いいの?君、首塚のメンバーでしょ?」 コーラの契約者が、日焼けマシンの契約者にそう声をかける それに、30過ぎの魔法使いは、ハっとした声をあげた 「っく、首塚だと!?仲間じゃなかったのかよ!?」 「っは!!誰がてめぇみてぇな腐れ外道、仲間だなんて思うかよ!」 吐き捨てるように、日焼けマシンの契約者は魔法使いを睨みつける 嫌悪と、軽蔑の篭った眼差しで 「女子供をいたぶるような野郎、将門様の配下に相応しくねぇんだよ」 「わぁ、見捨てられたみたいだね」 にこにこと、コーラの契約者が楽しそうに笑う どこか無邪気で、しかし残酷な、狂気の笑みを魔法使いに向けている 「安心してね、あっさりは殺さないから」 「っは!俺も同意見だ、あっさりとは死なせねぇ」 青年二人 なにやら、今だけは、意見があっているようだ 「「じわじわと、苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで苦しんでから、死なせて」やるよ」あげるよ」 ごぽっ! コーラが生き物のように地面を這い、魔法使いの足に襲い掛かった じゅううううう! まずは、右足が溶かされる 「ぎ……っ」 そして 日焼けマシンの契約者の攻撃も、既に始まっている 一度は元の色に戻った魔法使いの肌の色が…再び、茶色く染まり始めている 日焼けが始まっているのだ 日焼けマシンで人間ステーキ 途中までは、ただの日焼けですむ しかし、ある線を越えた瞬間から、それは残虐な攻撃へと変わるのだ 「先に足を潰しちゃえば、逃げられないよね?」 「…すっげぇ、鬼畜。なぁ、あんた。あんなの見捨ててやっぱ俺のところこねぇ?」 「今は、そんな事を言っている状況ではないでしょう?」 場をわきまえぬ日焼けマシンの契約者に、小さくため息をつく …まぁ、口ではそう言いながらも この日焼けマシンの契約者は、魔法使いへの殺意に支配されている状態だ じゅうううううう 今度は、左足を溶かされた魔法使い 最早立つこともできずに、倒れこむ くすくすくすくすくすくすくす 闇夜に、笑い声と、悲鳴と、何かが溶けて、焼ける音だけが響き渡る…… 次は右手 手の辺りからじわじわと、肩の付け根まで溶かしてあげよう その次は左手 こっちも、手からじわじわと肩の付け根まで溶かしてあげよう ほうら、これでダルマの出来上がり ダルマ男の完成だ 「ぎ……ぐ、癒しの炎よ…我が傷に……っが!?」 「治しちゃだぁめ」 ぐり、と 倒れこんでいる男の胸元を、踏みにじる …こいつが こいつが、ルーモアのマスターを殺したのだ どこか、不器用ながらも幸せそうだったあの空間を…壊したのだ 「…………」 そう 幸せを、壊した あんなにも、幸せそうだった あの店には、そうしょっちゅう行っていた訳ではない でも、行くたびに、暖かかくて 幸せそうで …羨ましかった 自分がなくしてしまったものを、彼らはちょうど持っていて とても、とても、幸せそうだった それを こいつが壊した こんな奴が! 身勝手な考えで!! 壊したのだ!!! 「がぱっ……!?」 ごぽり 口にコーラを注いでやる まだ、舌と喉は溶かしてやらない 溶かすのは 「--------っ!?」 「痛い?痛いよね?だって、内臓を溶かされてるんだもん」 くすくすくすくすくす 自然と、笑みがこぼれてくる 体中を焼かれ、ダルマになって あぁ、なんて無様な事だろう 「苦しい?辛い?死にたい?」 くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす 笑いが、止まらない 「でも、駄目だよ。まだ死なせない。まだ足りない、全然足りないよ。まだまだ、全然駄目」 そうだ、まだ、足りない …不意に 笑い声が、止まった 「…この程度で、楽に死ねると思うんじゃねぇえよ!!このっ、腐れ外道がっ!!」 「ぐがっ!?」 だんっ!!と 力強く、男の胸元を踏みにじる 痛みに悲鳴をあげてくる男を、さらに、さらに踏みにじる 「てめぇが殺した人が!どう言う人だったか、てめぇにわかるか!?」 ごぽり コーラを、男の右目に垂らす 悲鳴が上がる じゅう、と右目が溶けていく 「あの人が……あの子と、どんな約束をしていたのか!てめぇにわかるのか!?」 ごぽり コーラを左目に垂らす じゅう、と音たて、左目が溶ける 「てめぇが……てめぇなんぞに!!幸せな家庭をぶち壊す権利なんざ、ありゃしねぇんだよっ!!」 ごぽり コーラを鼻に垂らす じゅうと音たて、鼻が溶ける 男の絶叫が、暗い道に響き渡る 「てめぇなんざ死ねっ!死にやがれっ!!てめぇみてぇな野郎、生きていてもなんの価値もある訳がない!!あいつらの幸せを壊しやがったてめぇが、許されるはずがない!そんな権利なんざ存在しねぇ!!!てめぇは有罪だっ!!有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪!!!」 …脳裏に、過去の記憶がフラッシュバックする まだ、家族全員が揃っていた頃の記憶 父も母も、生きていた頃の記憶 とても とても、幸せだった頃の記憶 兄と一緒に、大学に合格できて 自分たちは、両親にそれを報告するはずだった よくやったね、と、褒めてもらうはずだった それなのに 『----っ見るな!!』 兄は、それを自分に見せようとしなかった 優しい兄は、それを自分に見せようとしなかった しかし、自分は見てしまった いや、見てしまわなくても、きっと、あの濃い血の匂いで気付いてしまっていただろう 部屋のリビングで、両親は死んでいた 一目ではっきりと、死んでいるのがわかった 両親には、首がなかった 首が、切り落とされていた そして、切り離された、首は テーブルの上に二つ並べられて……… 痛い 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い 頭が、痛い 普段、思い出さないようセーブしていた記憶が蘇る 幸せを壊された記憶 家族を殺された記憶 それが、はっきりと蘇る 輪が感じる悲しみ それを真に理解するには、家族を失っている必要がある 家族を殺されている必要がある どんなに理解しようとしても、本当に全てを理解できるのは、同じ境遇に立った者だけだ 自分は、輪の悲しみを理解できる しかし、完全ではない 家族を失ったのは同じ 家族を殺されたのは同じ しかし、決定的に、違うのは 自分は、両親が死んだ瞬間を見ていない 両親が殺された瞬間を見ていない 輪は、見てしまっている マスターが死んだ瞬間を、殺された瞬間を あの少年の悲しみと怒りと嘆きと絶望を、自分は完全には理解しきれていない …だが ここまで理解できていれば、充分だ これ以上理解しようとしたら……きっと、自分の心は、今度こそ壊れる まるで、おのれの過去の境遇を重ね合わせるかのように 彼は、男に怒りと憎悪をぶつける いまだ見付からぬ、己の両親を殺した誰か それを見つけられぬ恨みも、一緒にぶつけるように 「有罪、有罪有罪っ!有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪有罪!!!」 「お、おいっ!?」 何だ? どうしたんだ、こいつは? ただの、ちょっと鬼畜どSな優男 以前会った時のこいつの印象は、そんな奴だった だが、しかし 今、目の前にいるこいつは 自分の能力で全身焼けただれた男に追撃するように踏みにじり、拷問するように溶かしていっているこいつは 復讐心に囚われた、化け物のようだった 「…っこれは、いけませんね」 「お、おい」 足早に、黒服がコーラを持った青年に近づく じろり 狂気に、復讐に囚われた眼差しが、黒服に突き刺さっている 「邪魔を……」 「正気に、戻りなさい」 黒服は、懐から何か、小さな小石を取り出して そっと、コーラを持った青年に押し付けた っぱん、と 小石は、音をたてて砕けて 「-------ぁ」 すぅ、と 青年の目に、光が戻る 意思が、戻ってきた 「あ…僕、は…」 よろり 青年は、男から足をどけた ぶすぶすと、体中から煙を出している男 全身黒くこげ、体中溶かされ…それでも、まだ、生きている いっそ、死んだ方がマシなのではないかというそんな状態で、しかし、まだ生きていた 「…楽に、させるべきですね」 正気に戻りながらも、若干ふらついている青年を庇うようにたちながら 黒服は、男に銃を向けた もう助からないだろう、この苦しみから、解放させてやるための せめてもの、慈悲の一撃を、放とうとする …それよりも 「……癒し…の炎よ…我が…傷に…命の火を………灯したまえ……!」 「----!?」 「んなっ!?まだ、喋れたのか!?」 男が、呪文を唱える方が、早かった どう見ても、死体一歩手前だったその体が…再生していっている!? 「ッ野郎!!!」 再生したならば、また攻撃するまでだ!! 再び、相手を焼いてやろうと攻撃を向けようとするが 「…………………………」 男が、何か呟いた 直後…男の姿が、消えた 「っ!?」 「…転移ですか。もしかしたら、決めていた場所へと帰っただけかもしれませんが…厄介、ですね」 銃を下ろす黒服 …逃げられた 逃がしてしまった 「ちっくしょう!!」 畜生! あの外道野郎を、逃がしてしまうだなんて! うかつだった あんな腐れ外道、すぐに殺すなんて生ぬるいと思って、加減したのが悪かった ……さっさと、殺すべきだった!! とさりっ コーラを持つ青年が、座り込む 一度は光が戻った目 しかし、何かの記憶に締め付けられているかのように、その視線は定まらない 「……逃がし、ちゃった?」 「そのようですね」 「……そう」 沈む、声 俯いていて、表情は見えない しかし、その声は、地の底から響くかのように、暗かった 「…立てますか?」 「…………平気だよ」 にこり 顔を、あげた時 青年は、また、笑っていた 「逃がしちゃったなら…帰らなきゃ。兄さんが心配する。兄さんを、心配させちゃ駄目だ」 それは、誰に言うでもなく まるで、自分に言い聞かせるかのような、言葉 「また、あいつが見付かったら教えてね。今度こそ、殺してやるから」 にっこり、と笑みを浮かべて 青年は、ふらふらと立ち去っていく …その、後ろ姿は まるで、迷子になって泣いている、子供のようだった 「…ご協力、感謝します」 「感謝なんて、される資格は俺にはねぇよ…逃がしちまったんだ」 小さく、舌打ちする あぁ、畜生 今度見つけた時こそ…焼きつくしてやる! 「私は、これで。あの状態の彼を、放っておく訳にはいきませんから」 「……おぅ」 ふらふらしている青年に、黒服は駆け寄っていく …悔しいが、自分でもよくわかる あの状態は、放っておくのは不味い ふっ、と目を放した隙に、消えてしまいそうな、死んでしまいそうな そんな危うさを、感じたから …しとしとと、雨は降り続けている 戦っている間は気にならなかったが、気がつけばずぶ濡れだ ぐしゃり、髪をかきあげる 「----っちくしょう!!」 ばしゃり 苛立ち混じりに、水溜りを踏みしめる あんな奴を逃がしてしまった自分が許せない 黒服に、気をかけられるあの青年が、羨ましい いくつもの苛立ちが混ざり合い、思考を掻き乱す 「畜生、畜生、畜生……っ!!」 叫ぶ 叫んだどころで、どうにかなる訳ではない ただ、空しいだけだ わかっている わかっては、いるが それでも、彼は叫ばずにはいられなかった しとしと、しとしと ……ざあああああああああああああああああああああ 振り続けていた雨は、何時の間にか、強さを増して 耳障りなノイズとして、夜道に響き渡ったのだった 泣くな 悲しむな 立ち止まっている暇など存在しない 復讐せよ 復讐は汝らにあり 復讐の刃を折るなかれ ???????? 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ep.206 都市伝説レジェンド級!? 「犬鳴村について」 放送内容 参加メンバー Tomo K-suke その他 名前 コメント すべてのコメントを見る
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それは、黄昏 正義と言う少年が学校町にやってきて、数ヶ月ほどたってからの事 その日、正義はパトロールがてら、夕暮れの町並みを散歩していた まだ、学校町という街の地理を、完全には把握していない だから、それを把握する為、という意味もある しばし、そうやって散歩していると 「……あれ?」 …こんな時間帯に、一人でいるには少し、不自然に見えなくもない年頃の少年の姿が、見えた 小学校低学年か、それより幼い印象だ 手には、コアラの絵柄がついたお菓子の箱を持っている ガードレールに腰掛けて、うーうー、と歌うように口ずさんでいる様子は、楽しげだ この学校街は、都市伝説が多いらしい それも、この時間帯だ あんな子供が一人でいたら、危ないのではないか なんとなく心配になって、正義は少年に近づいていく 「放っておいてもいいんじゃないのか?」 「駄目だよ。あぁ言うちっちゃい子の方が、狙われるんだから」 大王の言葉に、そう即答する正義 都市伝説には、子供をターゲットにする者が多いのだ なおさら、放って置けない うーうーうー 楽しげに歌っていた、その少年 近づいてきた正義に気づいて…うー?と顔をあげた 正義を見つめて、小さく首を傾げてくる 「おにーちゃん、僕に何か御用?うー??」 「君、一人?こんな時間に一人でいたら、危ないよ」 正義が、少年にそう声をかける すると、少年はうー、と首を左右に振った 「うー、僕、一人じゃない」 「え?でも…」 「僕、お兄ちゃん、待ってる」 「お兄ちゃん?」 どうやら 少年は、ここで誰かを待っているらしい 正義が首をかしげると、うー!と元気に答えてくる 「うー!ステーキのお兄ちゃん待ってる、うー!」 「…すてーき??」 それは、一体どんなお兄ちゃんだろう 思わず、正義は首をかしげる ……でも 一人でないのならば、心配しなくてもいいのだろうか? でも、今、この少年が一人であるのは事実だし… どうしようか、正義が判断に迷っていると じ、と少年は正義を見つめてきて …ごそごそ お菓子の箱のふたを、開けた 「うー、あげる」 「え?」 …それは、コアラの絵柄がついた、可愛いお菓子 ちょうど、眉毛コアラの絵柄だ 少年は、正義にそれを差し出してくる 「いいの?」 「幸せおすそ分け、うー!」 元気に差し出されるそれ う~ん… そういうのなら、もらおうか 正義は、少年からお菓子を受け取った 「ありがとう、もらうね」 「うー、どうぞー!」 ぱくり そのお菓子を、正義は口の中に放り込んだ ほんのりと、甘さが口内に広がる と、そうして、正義がお菓子を食べ終わった頃 「幸太ー!」 「…うー!ステーキのお兄ちゃん!!」 どこからか、誰かを呼ぶ声 …どうやら、この少年を呼んでいるらしい 正義が声がした方向に視線をやると…そこには、金髪によく日焼けした肌の、シルバーアクセサリーをやたらとじゃらじゃら身に付けた青年の姿があった そのチャラチャラとした格好に、一瞬、「え?」と思った正義だが、幸太と言う名前らしい少年は、無邪気にそちらに駆け寄っていっている …どうやら、あの青年は、少年の言う「ステーキのお兄ちゃん」で間違いないらしい (悪い人じゃなさそうだし……大丈夫かな) 自分の心配は、杞憂だったらしい 正義はほっとため息をつくと、少年に背を向けて、歩き出した パトロールの時間も、そろそろおしまいだ 家に、帰ろう 正義の後を、恐怖の大王はやれやれとついていく だから、放っておけといったのに、このおせっかいは… ふわふわと、正義の後を大王はゆっくりとついていき ……きひひひ、と 小さな笑い声が、聞こえた 「…きひひひひ……良かったね?ここに来たのが、ステーキのお兄ちゃんと、僕が来た後で……そうじゃなかったら、危なかったよ?」 「-------っ!?」 振り返る大王 そこには、あの幸太と呼ばれた少年が…立ち止まり、大王と正義を見つめてきていて その表情は、先ほどとは違い、どこか大人びていて きひひ、と無気味に笑う 「あいつの相手は、君達じゃあ、まだちょっと辛いだろうからね………きひひっ、まぁ、ステーキのお兄ちゃんなら楽勝で勝てる相手だったけどね、きひひひひひっ」 「…っ貴様!?」 …この、少年 大王が「見えて」いる…!? つまりは、この少年も、都市伝説契約者なのか それらしき気配が薄くて、気づかなかった…!? この少年の言葉から、察するに この道の先で、何らかの危険な都市伝説が現れていて それを…あの、チャラけた格好の青年が、倒したという事か? だとすれば、あの青年も、契約者 改めて気配を探れば…あの青年からは、強い都市伝説の気配を感じられた きひひひひひ、と 少年は、笑い続けている 「…あぁ、心配しなくていいよ?少なくとも、今の君達は僕らの「敵」じゃない………大丈夫だよ、敵じゃなければ、ステーキのお兄ちゃんが、君達に攻撃する事なんて、ないからさ」 「……敵、だと?……ならば、どうすれば敵になると?」 「……知りたい?………きひひひひひひっ」 楽しげに笑う少年 どこか、小馬鹿にしているような態度すら、感じられる 「簡単だよ。僕らに対して敵対行動をとるかどうか、僕らに危害を加えるかどうか……そして、「首塚」を侮辱するかどうか。簡単でしょ?きひひひっ」 首塚 …その単語は、聞き覚えがある この国における、かなり強い祟り神が祭られている場所ではないか 「…もし、君達が「組織」の……それも、強硬派か過激派だったら、問答無用で敵だったんだけどね。良かったね、「組織」所属じゃなくてさ。きひひひひひひひひひひ」 無気味に笑い続けながら 少年は、じっと…大王を、射抜くように見つめた 「この街で、契約者と都市伝説として生きるなら……気をつけないと、駄目だよ?この街は、とってもとっても危険だからね………きっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」 ぞくり、と 大王は、悪寒を感じた 目の前のこの少年が、たまらなく恐ろしい存在に見える 「…大王?どうしたの?」 ……と 正義が、大王がついてこないのを不思議に思ったのか、振り返ったのと 「幸太ーー?どうしたんだ?」 青年が、少年を改めて呼んだのは ほぼ、同時 「うー!今行くー!うーうー!」 ぱっ、と 少年は、元の様子に戻って うーうー、と無邪気に少年に駆けていって …あの、不気味な変化を 正義は、見ることができなかった 「大王?何かあったの?」 「……いや」 あれは、一体何だったのだ? あの少年の不気味な変化は、少年の契約都市伝説にでも影響しているのか? 少年の、あの別人のような変化を前に 果たして、あの少年は、警戒対象か、否か? 大王は、その判断に迷うのだった 「………大丈夫だよ?「首塚」に敵対しなければ、君達と戦う事はない……「首塚」の誰かが、恐怖の大王のおにーちゃんたちを殺すことはないからね?きっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひあ痛」 「っと、幸太、大丈夫か!?」 「うー……転んだ。うー……」 fin? 前ページ次ページ連載 - 首塚
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首なしライダー 18 宴は始まり、様々な都市伝説が飲んだり騒いだりしている そんな中 「ふふふ…沢山いますね…都市伝説が…」 …見たこともない幸せそうな表情を浮かべる朝野 その手にはデジタルカメラを構えている えらく宴会に乗り気だったのはこういう理由か… 「先輩、私は適当に飲み食いしながら写真撮ったり色々と情報集めますが、先輩は…どうします?」 …首があるなら飲み食い出来るが生憎と今の自分はそれができない [何か料理の手伝いとか雑用でもしてるよ] さすがに、宴に参加しておいてただ座っているだけというのも失礼だしな。 まず、そのためには調理場を探す必要があるが… 忙しそうに動いているあの金髪の青年にでも聞いてみようかな… 「先輩、料理出来るんですか?」朝野が意外だとでも言いそうな顔で俺を見ている [これでも一応、調理実習とかの評価は満点だったよ?] 料理が得意な事は俺の誇れる数少ない長所の一つだ。 …調理場に行って、やることありませんって言われたら正直困ってしまうが…なんとかなるだろう、たぶん 「へぇー…じゃ、頑張ってくださいね先輩」 女性の体の首なしライダーと 黒い半袖にジーンズ姿というなんとも普通の格好の女の子はそれぞれ宴を楽しんでいた。 前ページ次ページ連載 - 首なしライダー
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合わせ鏡のアクマ 27 「ネックと」 「RBの」 「「「ラジオde都市伝説ー!!」」」 「司会は私、ネックおばさんと」 「秋祭り編に登場したい、RBがお送りする」 「・・・で、久々のこのコーナー。みんな覚えてなさそうなのに何故今?」 「無論、書き手の気まぐれだ。それでは書き手からの要望でアンケートをとるぞ」 「はーい。今回のラジオde都市伝説は、書き手から読んでくださっている皆さんへのアンケートです」 「わー、ぱちぱちぱちー」 「その内容は『姫さんの方向性をチートキャラとしてよいのかどうか』だ」 「普段から父親に暴力を振るう姫さんですが、どうも最近その頭角を現してきたらしいんですよ」 「あ、もちろんそのほとんどが作者の脳内でですよー?」 「そこで、これまでのヒロイン役に加えてチートキャラのポジションを与えてみたいらしい」 「まぁ・・・そのチートもどれくらいのレベルかによるわよねぇ・・・」 「書き手としては『禿の黒服と渡り合えるが、スタミナ切れで負ける程度』にしたいらしい」 「強いわよ!新世界の神になりえる人と渡り合うってどれだけチートなのよ!!」 「大きくでましたねー」 「それくらいでないとチートとは呼べんだろう・・・」 「で、でももちろん禿の黒服さんみたいにギャグ要員としてのチートなのよね?」 「・・・・・・・・・」 「え、なにその沈黙は。おーい、RB?」 「それではラジオde都市伝説!またいつの日かっ!!」 「あ、コラ逃げるな!待ちなさぁああああい!!」 「・・・あ、書き手からの手紙が置いてかれてます。えーっと・・・ 『姫さんって最近すっかりギャグ要員だから、 チートキャラとして戦闘させたいなーって思うわけよ』 ・・・・・・・・・ そ、それではラジオde都市伝説!また次の機会にお会いしましょう!!」 * このアンケートの結果・・・・・・・・・ * 南区を一人の女子高生が歩いている。 彼女は時計を見ると、なにか時間が迫っていたのか小走りになって路地裏へと入っていった。 すると、狭い路地裏に黒い服を着た男が二人立っていた。 女子高生は気にする様子もなく男達を避けて走っていく。 それを見た男は彼女の背中へ向けてその異常に長い腕を伸ばして、捕まえようと・・・ 「バーカ、単純すぎるわよ」 女子高生はクルリと振り向くと伸ばされた腕を掴み・・・ 「んっ、そぉい!」 思いっきり引っ張った。 引き寄せられてきた黒服に、女子高生が蹴りをいれる。彼女はよろめく黒服から距離をとると 「ダァッ!」 助走をつけて渾身の踵落としを決める。 崩れ落ちる男の後ろからもう一人の黒服が異形を隠そうともせずに向かってくるが 「せいっ」 黒服の足が払われる、そのまま彼女は体を回転させると 「うりゃっ!」 黒服の頭と思われる部分へ回し蹴りを決めた。 蹴りの勢いで壁に叩きつけれれた黒服は、そのまま動かなくなる。 「ま、こんなもんよね」 靴をトントンと踏み鳴らすと彼女は路地裏を出て行く。 「やっぱり妹ちゃんと契約してから、××みたいに体が少し強くなったみたいね」 『怪奇同盟』からは器が小さくて影響が出てしまったのだろうとか言われたが、これはむしろ好都合だ。 「なにせ、アイツや妹ちゃんの手を煩わせなくてもこうやって自衛できるわけだし♪」 そう、彼女は戦う力を手に入れた。別に人間でなくなるつもりはないが、これくらいならアイツも気づくまい。 「ほーんと、なんか得したきぶ、ん・・・・・・あ」 路地裏から出た先で彼女を待っていたのは、黒い影の集団であった。 「・・・えーっと、もしかして私今すっごく・・・ヤバイ状況?」 迫ってくる黒い影の集団に、冷や汗を流さずにはいられない女子高生こと姫さんであった・・・ 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
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暗い暗いその部屋に、灰色のコートを着た男が帰ってきた 尾なしの犬を引き連れ、部屋に戻った男は……部屋の中にいた先客に、機嫌悪そうな表情を浮かべる 「……何の用だ」 「つれないですね。私は、あなたの協力者だと言うのに」 その女は、男…朝比奈 秀雄に、楽しげにそう、笑いかけた 白い髪が、ぱさぱさと揺れている H-No.9を名乗る、「組織」の黒服だ もっとも、黒いスーツの上に白衣を纏うと言うやや珍妙な出で立ちのせいで、「組織」の黒服と呼ぶには、やや違和感も覚える しかし、彼女は間違いなく「組織」の黒服であり…朝比奈に、「都市伝説との契約書」を「組織」から持ち出し、与え続けた女である とは言え…最早、その事実は「組織」にバレてしまった 消される前に「組織」を抜け出し、その際に持ち出してきた「都市伝説の契約書」が全て使い尽くされたならば…この女は、朝比奈にとってもはや用無しである こちらの事情を知る相手は出来る限り少ない方がよい 使えなくなった駒は、消すに限るのだ 「用があるのなら、さっさと言え。化け物が」 「まぁまぁ、そう言わずに……どうでしょう?私の契約都市伝説の力、あなたの計画に役立てるよう、使って差し上げましょうか?」 形のいい唇を釣り上げ、重たそうな胸を支えるように腕を組みながら、そう言って来たH-No.9 …確か、この女の能力は… 「…「病は気から」、か」 「そうです。この力を使えば……あなたがその権力を欲する家の今の当主の、三日以内にその命、終わらせる事ができますよ?」 「……余計な事をするな」 低く、そうH-No.9に告げる朝比奈 彼の不機嫌な思考に連動するように、クールトーが唸り声を上げる 「あの男に、今の状態で死なれては困る……翼が、次期当主に着く事を、確定させるまでは」 「他の当主候補を全員殺してしまえばいいのでは?」 「それでは、世間から不審の目を向けられる。それでは意味がない。なりふり構わぬのなら、それでも良いが」 冷酷に、そう口にする朝比奈 目的の為ならば、己の息子すら平気で利用する男だ かつて伴侶にした女の家族すらも、目的の為ならば容赦なく殺せる冷酷さは持っている だが、それでは、目的を達する上で、不都合なのだ だから、まだ殺さない ただ、それだけだ 「こちらの役に立つというのなら、その能力で街に不幸でもばら撒いておけ…ただし、日景の家以外にな」 「そうですか。それならば、そうしましょう」 笑い、H-No.9は部屋を後にしようとする その直前、朝比奈とすれ違い……どこか妖艶に、笑った 「…ところで。いい加減、あなたの三つ目の都市伝説、教えていただいても宜しいのでは?」 「……私が貴様を殺す事になったならば、その瞬間に知る事になるのだから、必要はない」 「………酷い人」 肩をすくめ、部屋を後にしたH-No.9 朝比奈は、忌々しげに彼女が出て行った扉を見つめた 「……化け物が………増長するようだったら、さっさと消してしまうか…?」 …いや あの能力には、まだ使いどころがある あの女が、裏切ったり、敵の手に落ちるようならば、その時に消せばいいだけのことだ 利用価値がある限りは、生かしておいてやってもいいだろう その価値がなくなるまで、使い潰してやればいい 「…しかし、コーク・ロアの兵が増えぬのは不便だな……対策を考えておくか」 兵は多ければ多い方がいい だが、所詮は使い捨てだ 使えば減るのだから、増やす方法も考えねばならぬ さて…どうしようか? 朝比奈は、どこか残酷な笑みを浮かべながら、思考をめぐらせるのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 悪意が嘲う
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終業式が終わってすぐのことだった (ミ+リ+ウィ 沖縄ぁ!? (裂邪 あぁ。突然親父が『少し早い夏を楽しもうぜ、キリッ』って言い出してな 前から興味あったから二つ返事でOKしちまった (シェイド ダロウナ、海ガ美シイト聴クシ、何ヨリオ前ノ好キソウナ生物モ見ツカリソウダ (裂邪 マングローブ行きたいよマングローブ あそこの生態系は滅茶苦茶興味あるよ どっかのオカマの所為でその神聖な名が怪我されてる気がしてならないんだけど (ミナワ お、沖縄の海で・・・ご主人様と・・・/// (裂邪 早速デートする気満々かお前はw 夜しかできないだろうけど、この時期は満月だろうから良い海が見られそうだぜ (ミナワ 満月の夜に裂邪と2人っきりなんて素敵です♪ (裂邪 俺も沖縄の海を見ながらお前とチューしたかったんだ☆ (ミナワ もぉ裂邪ったらぁ♪ (リム 沖縄行く前から既に灼熱を体験しているようだバク (ウィル 沖縄ってぇと、あっしのような「鬼火」の仲間も居やしたね? (裂邪 「火魂」だっけか? 小さい火の鳥みたいな奴 他にも沖縄固有の都市伝説とか多そうだなぁ 「シーサー」、「アカマタクロマタ」、「キジムナー」とか (ミナワ 結構あるんですね (リム 妖怪ばかりダバクけど (裂邪 うるさい、思いつかなかっただけだ (シェイド マトモナ物モアルゾ (ウィル どんな都市伝説でい? (シェイド 「沖縄に地下鉄が作られない理由」ダ 本来ハ不発弾トサレル、ト言ワレルノモ都市伝説ナノダガ、 1ツハ『沖縄ノ地下ニ埋蔵金ガ在リ、国家ガソレヲ隠シテイル』トイウモノダ (裂邪 へぇ、そんなのもあるのか (リム 流石は黒のお兄さんバク、どっかの契約者とは年季が違うバクね (裂邪 パーンチ (リム バクハァッ!? (ウィル リムの旦那ぁぁぁぁ!? (ミナワ あはは; 1つ、ということは、もう1つあるんですか? (シェイド マァナ。モウ1ツハ、地下ニ埋マッテイルノハ埋蔵金デハナク――――― コンコン (裂邪 [全員静かに!!]は、はい? (正義 お兄ちゃん、お母さんが呼んでるよー (裂邪 何だお前か・・・分かった今行く。悪いな、話は後だ 俺は最後まで話を聞けずに部屋を出た 帰ってきた時、この話をすっかり忘れてしまっていて聞きそびれてたんだが、 今思えば、あの続きは聞いておくべきだったかも知れない 何故かって? それは・・・沖縄に行けば全部分かる ...To be Continued/ただし大王の作者が暇になるまで続かない 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
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合わせ鏡のアクマ 08 「・・・ねぇ、これでちゃんと放送できてるの?」 「大丈夫だろう・・・たぶん。私も機械にはあまり詳しくないのでな・・・」 「そう、じゃあ始めるわよ。準備はいい?」 「ああ」 「おっけーです」 「ネックと」 「RBの」 「「「ラジオde都市伝説ー!!」」」 「司会進行は私、ネックおばさんと」 「最近看護学校に通い始めた、RBがお送りする」 「いやー、突然始めちゃったこのラジオ番組ですけど。趣旨の説明をRBさんどうぞ」 「この番組は、リスナーから寄せられた質問等に私達二人で答えていくいわえる『メタ』コーナーだ」 「ちなみに電波ジャックの方法だけど、『深夜のラジオ番組に変な声が聞こえる』という怪談に力を借りてるわ」 「どーもー、『ラジオの声』です」 「しかし残念なことに彼女、収録してる我々には声が聞こえないんですよね~」 「まったくだ、本体を探すのに苦労した」 「ちなみに私はいつでもスタジオにいるので気軽に話しかけてくださいねー」 「たぶんリスナーの皆様には『声』が聞こえてるんでしょうね。私達は声を無視しているわけではないですよ」 「なにせ聞こえないんだ、反応しようがない」 「大丈夫ですよー、差しさわりのあることなんて言いませんからー」 「・・・そろそろ始めるか?」 「あ、そうね。始めましょうか!」 * 「まずは最初の質問。P.N『匿名万歳』さんからのお便り 『なんでパー速でやらないの?』 はい、その質問にお答えします!」 「1スレ目の終わり際に、『続行か否か』を皆に問うた時に 『続行』が多かったので、現在パートスレになっている。 その際、一緒に『パー速かVIPか』を聞いたところ、 『VIPがいい』という答えが多数だったのでこういう状態になっている。以上が理由だ」 「このまま続く場合は、またアンケート取るんでしょうかねー?」 「続いては、P.N『通りすがった名無しさん』からのお便り。 『花子と寓話のテラースレだと思った』 はい、これはどうなんでしょうか?」 「以下に読み上げる文章は1スレ目の1のものだ。 1 名前:VIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 23 31 50.48 ID GN1DYnK+O 花子さんとか美少女切り裂きジャックと契約して闇夜を舞いたい 調べてみたところ、その漫画に切り裂きジャックは出てきていないと見受けられた。 さらに、同じようなレスがされたときも1は反応していない。以上からおそらく1はそのつもりはなかったのではないだろうか?」 「ところで、この後1氏は『ウェルカムだ!ようこそミス、メリー!』などと発言していたとの未確認情報が・・・」 「全体に関する質問は、こんなところかしらね?」 「まぁ、我々が答えるのも筋違いというものだが・・・」 「今更何を言ってるのよ。それじゃあ次は私達の話への質問およびツッコミね」 「まぁ、登場人物からしかそんなお便り届かないんだが・・・」 「それじゃあ、いってみましょう!」 * 「それではこの質問、P.N『家政夫は見た!」さんからのお便り。 『アクマの元の都市伝説は願いを叶えるんだろ?契約者の願いどーなった』との質問が」 「あー、それは悪魔の悪知恵に引っかかってるんだ。あいつは強引に 『合わせ鏡の悪魔を契約したい』という願いを引き出したんだ。だから願いは叶えられてることになっている』 「へー、子供っぽくても悪魔ね」 「契約者さん・・・不憫ですねー」 「続いて、P.N『黒色ガーネット』さんからのお便り。 『最初に彼らが戦った花子さんはどんな都市伝説だったんですの?』ですって」 「あー、これは『子供を便器に引きずり込む』話だったようだな。だから契約者は水を避ければよかったわけだ」 「強かったの?」 「そこまで強くはなかったのではないと思われるな。契約したての彼が初めての戦闘で10分攻撃をこらえたわけだしな」 「・・・当時から契約者の身体能力が高かったという見方はしないんでしょうか?私もそれは違うと思いますけどね」 「おっと、次が最後のお便りよ。P.N『無敵のプリンセス』さんからの質問。 『墓場でかかってくる電話が、女の子の声なのは何故?』ですって、書き手の趣味じゃないの?」 「これはだな、元々町中にある墓場の声はすべて違っているという設定があって・・・まぁ、最終的には趣味だな」 「ハーレム系の話とか好きなんですよね。きっと」 「ちなみに、契約者達とよく話している墓場が、一応町の墓場群の中で一番古く、一番格上だ」 「☆型云々の時に、頂点の一つだって言ってましたからね」 「たぶん、墓場の声は今後もでてきてくれるでしょう。ヒロインルートはありえませんけど」 「それでは、そろそろ時間となりました」 「今日のラジオde都市伝説はここまで」 「「「それではみなさん、またいつか!」」」 「あ、ラジオde都市伝説はゲスト募集中です。気軽に参加しに着てくださいね~!」 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ